鳴門市にあったふたつの遊郭。
もうひとつは、撫養町岡崎にあった。林崎とはかなり近接しているが、全国的にはこうしたケースはそこそこ見られるように思う。
岡崎は、海峡に面した海のまちだ。
江戸時代には塩田があり、塩のほか、物資の積み出し港として隆盛を極めた撫養港があった。
なるほど、ここに遊郭ができた理由がよくわかった。
海岸に面した場所に立つ「旅館水の」。
海の幸とオーシャンビューの客室が売り文句となっているようだが、どうにも古臭い感じが否めない。
岡崎遊郭
リサーチなど何もしてないので事前知識はゼロ。
適当に歩き出すと、とりあえずそれっぽい建物が出てきた。
唐破風には亀。
永きに渡る商売繁盛を願ったのだろう。
栄枯盛衰は人の世の常である。
斜向かいにも、遊郭時代のもので間違いなさそうな廃屋が立っていた。
まるで深海のように静かだった。
この建物は時の刻み方を忘れてしまったのだろうか。
岡崎のほうは、林崎と比べれば宅地化が進んでいた。
近年建てられた、新しめの戸建てがよく目についた。
逆に、古い木造家屋はおしなべてこんなのやモジャ物件ばかりだった。
いわゆる、取り壊しすらままならない「負動産」であろう。
1ブロックをぐるっと一回りして来たら、最後に強烈なのが姿を現した。
植物を育ててるのだろうか。老婆心ながら、そろそろ何とかしたほうがいいんじゃないかと思う。
見た感じ、旅館水のの一部(旧館?)のようだ。
位置的には、今の旅館の隣にあたる。
この区画だけ見たら、曲がりなりにも現役の旅館があることを考えるとちょっと寂れ方が尋常ではない気がした。
なぜ朝からこんな廃屋を撮らねばならないのか・・
貸座敷と言うよりかは、料亭か貸席のように見えたこの建物が最も雰囲気があった。
四日間に及んだ旅も、いよいよ終わりが近づいていた。
あとは下道でのんびりと、高松港へ向かうだけだった。
[訪問日:2018年11月26日]
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