北アルプスに抱かれて。蔵のある街、松本『中町通り』を歩く

全国で5つしかない国宝の現存天守。

“漆黒の名城”、松本城を擁する松本市は、交通の要衝として、また、北アルプスの玄関口として長く栄えてきたまちだ。

城下町は、城の周りが武家地、縄手通り商店街のある女鳥羽川の南側が町人地として整備された。
縄手通りと並び、松本を代表する観光スポットになっているのが町人地にある「中町」、人呼んで“蔵のある街”である。

縄手通りに来たとき、セットで回ろうとしたものの時間が足りなくて行けなかった中町。松本に来たのもあれ以来。実に3年以上の歳月が流れていた。

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中町の歴史とか

松本城の築城は1504年と言われる。戦国時代である。
城下町が整備されたのは1590年に石川数正が入城したのちのことで、概ね江戸初期あたりのようである。

ただ、今の中町の町並みが江戸時代のものかというとそうではない。

蔵造りのカレー屋

酒造業や呉服屋など問屋が多かった中町通りは、江戸末期から明治初期にかけて再三大火に襲われてきた。

明治21年の大火では凄まじい被害を出し、その結果、徹底的に防火を意識したなまこ壁の蔵造りで再建され、それが今に残る町並みの原型になっている。

と言う、誕生秘話自体はいたってオーソドックスな古い町並みあるある話に他ならない。

書いててデジャヴ感半端ないなぁと思ったのは、郡上八幡有松高岡などが似たような出自を持っているからだろう。

明治40年創業の伊原漆器店(左)

ただ、この通りは古い町並みでありながら完全な“観光地”でもある。
それゆえ、近年できた新しい建物やお店もあったりするものの、景観に統一感を持たせる配慮がなされている。

電線の地中化や歩道の石畳など修景もいい感じに施されており、非常に歩きやすい町並みになっている。

中町・蔵シック館

造り酒屋「大禮酒造」の建物を移築して開館した「中町・蔵シック館」。
明治21年の大火直後に建てられたもので、一般公開されている。

目の前には、今や珍しい手押しポンプの井戸。
実は松本は“湧水のまち”と呼ばれるほど水に恵まれた、いわゆる名水の地。

それもそのはず、雄大な北アルプスに抱かれた松本では、地下にしみ込んだ雨水や雪解け水が山を下り、市内の至るところで湧き出している。

富士山の雪解け水が湧き出る静岡県の「柿田川湧水群」と同じ原理だ。

歩くとよくわかるが、蔵造りの建物は思った以上に多かった。
そしてそのほぼすべてと言っていい数がなまこ壁を設えている。

脇道のそば屋さん。

中町通りは東西約500m。歩いて買い物して食事もするなら程よい距離だと思う。
松本駅からだと、入口まで10~15分かかるのもちょうどよい。

ちょこちょこ黒壁の建物があるのがいい具合にアクセントになっている。

歩いていてちょっと残念だったのが、交通量が結構多かったということ。
市街地なのでしょうがないけど、歩行者の数考えたら週末はホコ天にしてもいいぐらいだと思った。

筆者の場合、写真を撮る都合上本音を言えば真ん中を歩きたくて、ただ、交通量が多い場合は例えばスタート地点に戻るなら片側ずつ歩けばいいけど、通り抜ける系の場所だと非常に困る。

この日は駐車場が西側の入口付近だったので問題なかったけど、まぁ普通の人からしたらそんなどうでもいいような事情があったりするんです(笑)

そんな中町通りで最も感動したのがこちらのミドリ薬品さん。
昭和2年竣工。あと7年ほどで100歳。

丸型ポストが実によく似合っていた。

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