長崎市には丸山遊郭の他、出雲町、戸町、稲佐と3つの遊郭があった。
出雲町は完全に住宅街になってしまったそうなので今回は見送り、戸町、稲佐を見に行くことにした。
長崎と言えば造船業であるが、長崎港によって分断された市域の架け橋となった「女神大橋」の足元にある戸町地区もまた、小さな造船所があるまちである。
戸町鶴海遊郭
この戸町に「戸町鶴海遊郭」ができたのは明治20年頃の話である。
『全国遊廓案内』によれば、貸座敷16軒、娼妓約180人という規模だったそうだ。
遊里があった場所は、湾に向けて突き出した丸い半島のような形をしており、切り立った断崖状の地形をしている。
半島には外周道路が敷かれていて、その南側に遊郭があった。
付近を歩くと真っ先に目につくのが、当時から残る理髪店。「調髪館」の文字が時代を感じさせる、品の良い建物である。
よく見ると繋がっている隣の建物もまた、ずいぶんと悩ましい意匠をしている。
こっちまで悩ましい顔になってしまう。
その先に、今現在唯一と言っていい、往時の面影を残す木造三階建てが立つ。控え目ながら確かな存在感を放っている。
平均して1軒が10人ぐらい抱えていた計算になるので、どこもおしなべてこれぐらいの大店だったのだろう。
だいぶ手を加えられてしまったであろうものの、これほど分かりやすい建物もそうそうないと言う感じだった。
先人たちの写真と比べてみると、外壁がきれいに塗り直されていた。
まだまだ大事に使われていくということを意味するのであろう。
それ以外はもう何も残らない、長閑な住宅街が続いていた。
…この廃屋を除いては。
いきなりこんなん出てきたら心がざわつくわw(´<_` )
湾の対岸には造船所のクレーンと女神大橋が望める。
傾き始めた太陽の光を受けて、海面がキラキラと輝いていた。
(続いて稲佐遊郭編へ)
コメント
理髪店の隣の悩ましい建物は、元角海老楼です。白いシャッターの奥には見事な破風屋根が残っていますよ。3階建てだったのを、大きな台風のあと二階建てにリフォームしたそうです。この建物、今は三味線教室で、格子窓から三味線の音が聞こえます。
シャッターの奥に破風屋根はさすがに想像できませんでした^^;
三味線教室ですか。これほど三味線の音色が似合う建物もないでしょうねぇ。
いつまでも残って欲しいですね。