高砂の市場と言えば兎にも角にも市の中心部にある『銀座商店街』が有名だ。
高砂駅から二駅、山陽電車「伊保駅」の近くにも古い市場があると聞き及び、どんなもんかと見に行ってきた。
住所は兵庫県高砂市伊保崎1-17。
付近は細い路地が入り組んだ、文字通りの住宅街。
そして、Googleマップ上に市場の表記はなし。
道の細さに苦心しながらクルマを走らせ、ホントにこんなところに市場があるのかよ・・となかば疑い始めたそのとき・・
それは突如目の前に現れた。
青空の下、付近とはあまりに不釣り合いな躯体が放つ存在感にしばし見惚れていた。
その姿はどこか神秘的でさえあった。
公認高砂スーパーセンター。
市場は南北に長く、通路は二本。
中央付近に脇道があったので形としては「H」となろうか。
最盛期は20軒ほど商店があったようだが、今現在、西側通路の理髪店のみやってそうな雰囲気だった。
裏側(北側)に抜けた。
南北に入口を持つ市場だったようだ。
続いて西側の通路を見てみることにしよう。
曲がると、そこは崩落現場だった。。
なんか見ちゃいけないものを見てしまったような気分だ。
昔懐かしの図書券。
と言っても2016年まで発行されていたので割と最近まであったんだよな。
さて、この高砂スーパーセンターは一体いつ頃開業したのか。
なんせ情報が皆無なので、国土地理院の航空写真から調べてみたところ大体昭和40年代前半ということがわかった。
昭和40(1965)年の写真だとあたりはまだほとんどが田んぼだったが、その4年後、昭和44(1969)年を見てみると一気に住宅街という感じになっていて高砂スーパーセンターの姿も確認できた。
なので、2023年時点で完成してから55年前後と言うことになるだろう。
いわゆる、ベッドタウンとして開発されたニュータウンに付属する形で、そこの住民向けに造られた市場だったのだろう。
立地が駅前であれば、昭和初期や大正時代に開業したものでさえ存続する市場も珍しくないが、それが駅から離れた住宅街であればスーパーマーケットやショッピングモールに食われて衰退するのはもはや逃れられない宿命だと思う。
おそらくそう遠くない未来に、真新しい戸建てにでも建て替わっていることだろう。
そんな予感を感じさせる高砂スーパーセンターだった。
高度経済成長期、都市部への流入による人口増加で需要が増え、足りなかった住宅がそれから50~60年後には空き家が社会問題になるほど余っているというのは何とも皮肉な話だと思う。
高砂スーパーセンター。
まだあるうちに来れてよかった。
見たい方はお早めに。
[訪問日:2021年12月11日]
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