四国は活火山がないため温泉が少ない。
トップに君臨する道後温泉が圧倒的な知名度を誇る一方、二番手以下がかなり心もとない。
こんぴら温泉や祖谷温泉ですら、温泉好きでなければ知らない可能性が高いだろう。
そんな四国の、愛媛県大洲市の山中にある「小薮(おやぶ)温泉」に泊まりに行ってきたのが今回の話。
大洲の中心部から南東へ約20km。
肱川の支流小薮川に沿って2kmほど遡上した渓流沿いに位置する、いわゆる“秘湯の一軒宿”が小薮温泉である。
木造3階建ての本館が平成12(2000)年に登録有形文化財になっており、文化庁の「文化遺産オンライン」に色々と説明が載っている。
それによると、明治9年創業、本館は大正2(1913)年に建てられたとある。
ただ、大洲市のHPには“本館の建物は大正11(1922)年ごろの建築と考えられており”とあるし、当の小薮温泉のHPにも“大正の中頃に建てられました”とあるので11年が正しいのでは?と思ったりもする。
ちなみに女将さんは「大正中期の建物」「天井に上がったけど正確な年は書いてなかった」と仰っていた。
それでは館内へ
この小薮温泉は日帰り温泉も可能で、10時から19時の間で受け付けている。
筆者が泊まった当時は大人500円(現在は600円)だった。この破格の設定は昭和63年から変わっていなかったようで、いやいや普通に800円ぐらい取っていいと思いますけども。えぇ。
小薮温泉は三階建ての本館の他に二階建ての別館があり、こちらは昭和63年に建てられたもの。
今現在、宿泊は別館となるので別館に案内された。
ちなみに、玄関は本館の二階で、一階に降りると別館への連絡通路があるという造りになっている。
別館の名前は「龍雲館」。
女将さん曰く、元々は明治時代の近代建築風の建物が立っていたところを、雨漏りなどで大変になってきたので壊して建て替えたのが今の別館なのだと。
建築法で同じ番地に複数の建物を建てられないので番地を変えているそうで、建てる際には本館の屋根を削って間隔を確保したり色々と苦労されたそうだ。
到着したのが夕刻だったので、着いて程なくして夕食となった。
デフォルトで部屋食みたいだったので楽ちんだった。
夕食
お待ちかね夕食タイム。
旅館に泊まる楽しみは色々あれど、そこに食事が占めるウェイトはかなり高い。
アマゴの塩焼き(だったと思う)
茶碗蒸し
市内の酒蔵が醸した、おやぶ温泉のパッケージが貼られた地酒を頂く。
温泉
温泉は夜と朝に二度入った。
小薮温泉の泉質はアルカリ性単純冷鉱泉。
内湯のみで露天はなし。
温泉としての営業は明治8年からで、元々は自炊可能ないわゆる湯治場だったそうだ。
その後、旅館としては明治30年代頃からと伺った。
温泉にはこんな伝承があるそうだ。
江戸時代に鶴が降り立って傷を癒していた。きっといい湯に違いないと。
なので大広間に鶴があるのはそういうことだと女将さんは仰っていたが、これについては後ほど。
あくる朝
朝、広縁からの眺め。
建物のすぐ裏手が渓流という素晴らしいロケーションだった。
朝食。大変美味しゅうございました。
朝食後は館内の散策やら女将さん(ご主人)への質問などで慌ただしい時間を過ごすことになる。
筆者は大体チェックインが遅めなのと、行程(出発時間)を前もって決めているのでどうしてもいつもこういう感じになってしまう。
という訳で館内を散策。
こちらがロビーから一階へ降りる階段。
まずは本館から。
本館一階の囲炉裏のある部屋。
二間続きの宴会場。
別館の一階にある。
続いて本館の二階。
ロビーの奥にある部屋で、日帰り温泉に来たお客さんの休憩室として使用されているようだ。
あぁ、鶴ってこれか!
部屋の外側を廊下が囲むというあまり見ない造りをしている。
開放感が抜群すぎてめちゃくちゃ居心地のよい空間。
休憩スペース
知られざる本館三階
ところで、小薮温泉本館の三階は今は使われていない。
消防署(だったかな)に使うなと言われているのが理由とのこと。
女将さんに訊いてみると、見学するのは別に構わないとのことで丁重にお礼を告げて散策を開始。
こうして別館を見下ろすと、二階とだいぶ高さが違うな。
かつては客室として使われていたのであろう部屋を拝見。
だいぶ経年劣化が進行している様子だった。
部屋数は3部屋が2列で合計6。
真ん中に押入れがあるという話だった。
障子戸を開けると廊下でそこからは外が見渡せる。
さぞかし絶景だったことであろう。
立ち話の中で、昔は三階まで料理を運んでいたから大変だったのよ、と笑いながら仰っていたのが印象的だった。
こんな素敵な空間を使えないのはもったないよなぁ、、と思いながら渓流沿いの素敵な温泉宿を後にした。
余談だが、女将さんがずいぶん話好きな方で、出発が予定よりだいぶ遅れて旅程が崩壊したのも今となってはいい思い出だったりする(笑)
おしまい。
[宿泊日:2022年5月]

































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