高知駅からJR土讃線の特急に揺られて約30分。
高知県のほぼ中央に位置する「佐川町」は、植物学者・牧野富太郎の生誕地であるが、NHKの朝ドラ「らんまん」によって近年脚光を浴びたことは記憶に新しい。
元々は土佐藩の筆頭家老である深尾氏の城下町として栄えたまちで、中心部には往時の名残を色濃く残す町並みを今でも見ることができる。
まちの中心部を松山街道(土佐街道)が横切っているが、その南側に「酒蔵の道」という通りが並行している。
このあたりを「上町」と言うが、そこが本日の目的地である。
まず出迎えてくれたのが江戸中期に酒造業を営んでいた「旧浜口家住宅」。
黒漆喰の深い壁面と歴史の重みに耐える石垣が目を引く。
旧浜口家住宅はあとでゆっくり見学することにして、まずは町並みから見て行こう。
佐川は非常にコンパクトなまちで、ぶらぶら散歩するにはちょうどいいサイズ感。
タイトルに掲げた通り、佐川の町並みの特徴のひとつが白壁である。
以前吉良川の記事で説明した土佐漆喰と水切瓦が美しい景観を紡いでいる。
ひとつ前の宿毛の記事が2019年末だったので、高知に来たのはなんだかんだ2年半ぶりぐらいだが、やはりこの水切瓦を見ると「高知に来たな!」って感じがしてなんだか嬉しくなる。
ちなみにこちらの建物は、司牡丹酒蔵の直売所「ギャラリーほてい」。
佐川町の愛称は「歴町さかわ」。
すでにおわかりだと思うけど、このマークは深尾家の家紋ですね。
この並び・・すごい破壊力だ。
これが酒蔵の道。全長400mぐらいなので端から端まで5分ぐらいで歩けてしまう。
しかしながら、その短さとは裏腹に町並みはかなり濃密である。
司牡丹酒造の工場。
日本酒は新潟を筆頭に東北、信州など寒くて雪深い地域が美味しいのは一般的によく知られている。
なので土佐と言えば温暖で一見酒造りに適した環境ではなさそうではあるが、酔鯨をはじめ土佐鶴、亀泉、桂月など名だたる銘柄を多数輩出している。
特に県が開発した「CEL-24」という酵母を使うとものすごくフルーティーに仕上がり、かつて筆者は阪神梅田に出張販売に来ていた「桂月」を初めて飲んだときに鈍器で殴られたような衝撃を受けた。
実はこのあと、桂月の蔵元の土佐酒造さんに立ち寄って、そのときの感動とお礼を伝えたところものすごく喜んでもらえた。
ちなみに、日本酒を飲んで美味すぎて笑いが止まらなかったことは他にも何度かあるが、感動を覚えたのはあとにも先にも桂月の純米大吟醸だけである。
脱線したので話を佐川に戻そう。
こちらはかつて「マルキュウ」と呼ばれていた旧竹村呉服店。
幕末〜明治初期あたりの建物。
お隣に立つのがかつて酒造業を営んでいた商家「竹村家住宅」(国指定重要文化財)。
NPO法人佐川くろがねの会が運営する観光案内所「佐川まちの駅」。
高知県最古の木造の洋館とされる「佐川文庫庫舎(旧青山文庫)」。
元々は須崎警察署の佐川分署としてもう少し山側にあったが、平成21(2009)年に現在の位置に移築された。
そこから少し西へ行くと、資料館「牧野富太郎ふるさと館」がある。
ここが牧野富太郎の生家跡地にあたり、資料館は生家の意匠を再現して建てられているようだ。
あまり時間がなかったので中には入らなかった。
佐川の領主、深尾氏は文教に力を入れた。
私塾として創設されたこちらの「名教館(めいこうかん)」はのちに郷校となり、幕末までに数多くの優秀な人材を輩出した。
内部は復元されているが、玄関部分だけが当時のまま現存している。
明治維新の志士も多く輩出した名教館だが、牧野富太郎もここで学んでいる。
「植物学の父」と呼ばれる牧野富太郎は、造り酒屋の一人息子として佐川に生まれ、名教館で学んだ。
そして19歳のときに家業を処分し上京。以降は植物学に人生を捧げたのである。
旧浜口家住宅
最後に旧浜口家住宅を見学して佐川の散策を締めようと思う。
江戸中期より酒造業を営んだ旧家で、主屋は登録有形文化財。
文化遺産オンラインによれば明治初期頃の建築のようだ。
かつて野菊という銘柄を醸していた旧浜口家。
なお、今の司牡丹は大正時代に浜口家を含む4社が合併してできた蔵元で、当初は「千歳鯛」という銘柄だったが後に商標権の問題で「司牡丹」に改称したそうだ。
平成25年に改築され、現在は観光拠点のような施設になっている。
物販をメインに、休憩スペースとカフェを併設した感じの古い町並みでよく見られるスタイルに落ち着いている。
雰囲気は上々。
時間あったら珈琲の一杯でも飲みたかった。
庭から建物を見る。
小さなまちだが、濃密な歴史と町並みが残る佐川町。
穴場と言えば穴場なので、あまり人も多くなくゆったりと散策することができる。
高知方面に行かれる際は、是非とも目的地の候補に加えてみてはいかがだろう。
[訪問日:2022年5月6日]





























コメント