萩原から名鉄に乗り、津島で下車。
尾西線と津島線のターミナル駅ではあるものの、あまり知名度は高くない感じの津島市。
この津島に何やら古い町並みがあるというので、遠路はるばるやって来たというわけである。
朝から数えること5回目のまち歩き。歩き通しでそろそろお疲れモードなんですが、ここでもでかいコインロッカーがなく、あろうことかスーツケースをゴロゴロ引きながら散策する憂き目に。いい加減にしてほしい。。
駅の西口を出て、ひとたび南下。程なくして佐屋街道に出るので右折する。
佐屋街道の宿場町として発展
この佐屋街道、歴史が好きな方であればご存知だろうと思う。いわゆる東海道の脇往還で、宮宿(熱田)と桑名宿を結んでいた道である。
この間、東海道は「七里の渡し」という唯一の海上路になっており、迂回路である佐屋街道は欠航や船酔いを嫌った人たちに好評で交通量も結構多かった。
当時この津島には川を渡る「津島の渡し」があり、その名残が現在の天王川公園。
つまるところ、津島は街道沿いの宿場町として大いに繁栄したという歴史があるのだ。
佐屋街道が突然先細りするように二股に分かれるので、右側へ進む。住所で言うと「本町」。
この辺、「筏場町」とか「橋詰町」とか歴史を感じさせる地名がちらほら残っている。
結論から言うと、この本町界隈に古い町並みが密集している。
正面右側に見える古い町家は、1809年に建てられた「渡邉家住宅」。1975年(昭和50年)に今風に修復されていた家を、現家主が建築当時の姿に再現したという全国でもあまり例を見ないエピソードを有している。
40年前の修復で外されていたという屋根神様も復活。どこまでも徹底した再生ぶりである。
屋根神様とは、見ての通り屋根の上に祀られた祠で、愛知や岐阜でよく見られる。
まち歩きをするようになって思うのが、例えば大内宿や妻籠宿みたいにガイドブックに載っている場所なんてごく一部であり、この津島みたいに観光地化されていないところのほうが実際のところ圧倒的に多いってこと。
古い町並みが残る、昔街道筋で栄えたようなところって行く前に初めてその名前を知ることも普通にあるし、逆に観光客が来ないようなマイナーな場所で素晴らしい町並みに出会うとなんか得した気分になったりもする。
そこで歴史を勉強すると「へー」とか「ほー」とかなるような発見があるし、この辺がまち歩きの面白さなんじゃないかなーと個人的には思ってるわけで。
「思い」は人それぞれだけど、同じように古い町並みが好きな方の“歩くための一助”になればなーなんて思いで、こうして今日も拙筆で綴っているわけです。
今後とも、どうぞよろしゅうに。
相当歴史のありそうな呉服店があった。
いつからここで営業されてるんでしょうかね。
写真撮り忘れたな。この後ろに「津島神社参宮道」と書かれた石碑が立っている。
津島神社とは、創建540年とされる古社で、津島市の名はここから来ている。宿場町として賑わうもっと前、津島は元々この神社の門前町として栄えたのである。
この場所はちょうど丁字路になっており、北側が「上街道」、南側が「下街道」、西へ行くと津島神社。昔はこの先に天王橋が架かっていたことで、それが『橋詰三叉路』の名の由来となっている。
旧上街道のほうへ進むと県道129号線に出る。ここを東へ行くと津島駅。
その角には、なんともレトロな「イトウ写真館」。
ちょっとだけ駅から遠ざかり、最初の辻を北へ曲がってみた。
続きは後編で!
(2ページ目へ続く)
コメント
まさしく、知らない街を旅していますね。
こちらのように、観光地じゃないと
一時でもいいから、住民になってみたいですね。
観光地化されていないところのほうが意外と味があっていいですよ。
人が来るとどうしても俗っぽくなっていきますからね・・
津島市の歴史でもう少し付け加え頂きたいところが有ります。
戦後の商業として繊維業が盛んな時代に津島市も発展し労働組合も出来るほど産業として発展していたようです。天王川公園にある銅像も毛織物を盛んにした片岡の銅像も有ります。この銅像の柱の下に羊の顔を模した部分が特徴だと思います。
実際に衰退したのは、どの産業も同じですが、中国や台湾など東南アジアへ進出し、安い製品が輸入されるようになり、安い製品が消費されるようになってから、繊維だけでなく、従来あった日本の工芸にいたるまでが、衰退が始まったと思います。
50歳を過ぎた私の父や母の話を昔から聞いて育った年代ですので、日本が高度成長にあった時代の事ですので、津島市とその周辺の市も、同じように発展し栄えているので、特別とは言えないかも知れませんが。
繊維業が盛んだったと言うのは初めて知りました。(なにぶん不勉強なものですから)
おっしゃる通り、高度経済成長期を経て、海外産に押されて衰退していった産業は林業や鉱山などを筆頭に枚挙に暇がありません。
産業が興り、まちが栄え、そして衰退していく。歴史や痕跡を訪ねたり調べたりするのは楽しいことです。
機会があれば、また津島を歩いてみようと思いました。ありがとうございました。