京都の伏見は兵庫の灘、広島の西条と並び、『日本三大銘醸地』と言われる酒処である。
日本酒をまったく嗜まない人でも月桂冠や黄桜ぐらいは聞いたことがあるだろう。
そんな伏見の歴史ある町並みをぶらぶらと歩いてきたので、時系列に沿ってつらつらと写真と共に振り返ってみたい。
なお、西条については既出なので以下の記事をご覧頂きたい。

About 伏見
安土桃山時代に豊臣秀吉が伏見城を築き、一大城下町として発展した伏見。
実は酒造り自体は弥生時代から行われていたと言われるほどの歴史を持つが、城下町として栄えたことで需要が増え、より盛んになっていった。
酒造組合の公式サイトによれば現在22の蔵元がある。
そのうち21が伏見エリアに集まっており、中書島駅の北側、大体丹波橋駅あたりまでの範囲に点在している。
(注)上記地図は筆者が歩いたときに作ったもので、社名ではなく銘柄で記載しているので少々見づらいかもしれないが参考程度に眺めて頂ければ。
この日は丹波橋駅からスタートし、1号線より東側にある酒蔵はすべて巡るぐらいの意気込みで歩き倒した。
冬だったからなんとかなったけど、夏だったら絶対途中でぶっ倒れていただろうと思う…。
歴史のある町だけに、これほどまでに宅地化されているものの古い建物が比較的よく残っている。
蔵元も歴史は折り紙付きなものの、やはり生産量が生産量なだけにほとんどが新しく立派な建物になっていて、そういう意味ではやや残念ではあった。
ちなみに日本酒の生産量、1位が兵庫県で2位が京都府。
この2府県だけで全国の50%近いシェアを叩き出している。
駅名と同じ「丹波橋」を渡る。
この橋が架かる濠川は、伏見城の外堀を起源とする運河である。
以前、東一口の記事でも触れた通り、秀吉は宇治川を付け替えて伏見城下に引き込むという大規模な河川改修工事を行った。
これによって伏見は京都、大坂と繋がり、水陸において交通の要衝となった。
伏見の酒が全国的に有名になったのは、実はこのことも大いに関係している。
そしてもうひとつ。
伏見はかつて「伏水」とも称されたほど良質な地下水(伏流水)に恵まれた地で、そもそも酒造りに適していたのである。
かつて無知だった筆者は、日本酒に良質な水が必要なことまでは理解できたが、それはすなわち水や空気がキレイな場所、つまり田舎であることが条件だと思っていた。
だから灘や伏見のようにほとんど都会と言ってもいいような場所がなぜ一大産地なのかずっと疑問だった。
今となっては恥ずかしいエピソードのひとつである。
なお、酒の仕上がりは水質によってかなり左右される。
伏見の場合は適度なミネラル分を含む中硬水~軟水であり、発酵がゆっくり進むため、優しい味わいに仕上がる。
対して灘はミネラル分が豊富な硬水で、短時間で発酵が進むため酸が多い辛口に仕上がる。
これは聞いたことある方も多いと思われるが、その特徴から灘は男酒、伏見は女酒と呼ばれる。
そろそろ町並みの説明をしないと怒られそうなので閑話休題。
伏見を代表するフォトジェニックスポットのひとつ、玉乃光酒造(左)と松山酒造(右)に挟まれた路地。
玉乃光は有名ですよね。地方のスーパーなんかでも扱ってますし。
かつて川湊が置かれ、舟運で賑わった濠川。この付近では住宅街の中を流れるドブ川にしか見えない。
伝統的スタイルの町家。
かつて薩摩藩島津家の屋敷があった場所。
かの寺田屋事件が起こったとき、坂本龍馬が避難した場所として知られている。
ちなみに、襲撃後にまず逃げ込んだのが濠川沿いの材木小屋で、そこにも石碑が残っている。
伏見は城下町、港町、宿場町として栄えただけに、歴史遺産や古い建物目当てでも十分まち歩きができるぐらい楽しい街だった。
実は灘も結構前に既に歩いているのでいつか記事にする予定ではあるが、あちらは古い建物がほとんどないのでその点においてはあまり楽しめなかった。
続いては月桂冠の昭和蔵。
昭和2(1927)年に建設された酒蔵で、今も現役で稼働している。
なお、正面に見えてるのは隣接する事務所。
蔵のほうは濠川の橋の上からよく見える。
かなり巨大な構造物である。
伏見でも最古級の老舗酒蔵、北川本家。
「量り売り酒」の文字に惹かれて、この日はここで土産を購入した。
こんな感じで直接瓶に注ぐスタイル。
お次は松本酒造さん。
煉瓦造りの倉庫と煙突が東高瀬川の土手の上から見える。
映画やドラマの撮影でも使われたことがある、伏見はおろか京都を代表する景観である。
アップで一枚。
奥に見える三連土蔵が大正12年築の大黒蔵。
煉瓦倉庫と煙突は明治末期だそうで、これは元々この地にあった製薬会社の工場から引き継がれたものらしい。
引いて一枚。
煙が上がってるように見えるけど雲です(笑)
長くなってきたのでここらで一旦区切ります。
(2ページ目へ続く)


























コメント
1人勤務の忙しい仕事の為、なかなか旅行に行けない。このような素晴らしい写真とレポートありがたいです。さて、ここからは個人的な意見ばかり並べてしまいますが、ご了承下さい。
横溝正史先生の作品を映画やドラマ化したものが好きです。特に大好きだったのが、古谷一行さんが金田一耕助を演じたドラマ。京都の伏見をロケ地にしていることが多かったので、レンガの建物や酒蔵の壁が頻繁に出てきます。ドラマのエンディングで、金田一耕助が街ブラをしているのもてっきり京都の伏見だと思っていました。が、実際は千葉県野田氏のキッコーマン工場の周辺だったことを知って驚きました。数年前に、古谷一行さんが亡くなった為、そのロケ地に行きましたが、当時の面影は殆どありませんでした。京都は本当に伝統を大切にする所で良かった。これも、歴代京都府のトップの手腕にかかっているのでしょう。
そう考えると、酒の1位灘が1位から転落する日も近いでしょう。なにしろ、兵庫県はあの知事(恥事)になってから、県政はメチャクチャ、倒産も相次いでいる状態です。8月には、起債許可団体に転落、いや早期健全化団体に転落かも。そうなって来ると、税金がバカ高くなりますから、お酒造りも危うい。丹波篠山のあの建物の所有者も、税金が払えなくなって・・・もうここまででやめときます!
伏見もなんだかんだ宅地化が進んでいましたが、肝心なものはちゃんと残ってる印象でした。
ロケ地の裏話はなかなか興味深いですね。古谷一行さんの金田一耕助シリーズは見たことないんで、機会があれば見てみようと思います。
私ももう以前みたいにガンガン記事を書けなくなりました。できる範囲でゆるく更新していくので、またお仕事の合間にでも遊びに来てください。